まちのこぼれ話〈子母口・明津・蟹ヶ谷・久末・野川〉
海の中でアンパンを食べる
小泉 一郎さん
(こいずみ いちろう さん)
昭和5年生まれ 86歳
川崎市宮前区野川在住
「小泉冬越五寸」というにんじんの特許を持つ小泉さん。
子どもの頃の思い出や影向寺の史跡保存活動などについて伺いました。
(平成28年11月29日)
夏休みの思い出
夏休みは矢上川で泳いでました。田圃に水を引くために堰止めてあるから、そこで泳ぐの。泳ぎの“番”をする先輩の中学生がいて、監督みたいなもんですね。上流で泳いでいい者と下流で泳ぐ者と分けたりするんです。そうやって子どもたちのルールで事故を防いでたんですね。
“番”は代々引き継いでいくんですが、引き継ぐ時にはテストみたいなのをやってました。
海軍兵学校を目指して猛勉強
私は海軍兵学校に行きたかったんです。あとちょっと、ほんとに何か月かしたら行けるところだったんだけど。終戦になっちゃって行かれなかった。残念でしたよ。本当に残念だった。
工場の帰りには毎日夜11時ごろまで海軍兵学校に行くための勉強を補習してもらいに大学の先生のところに通ってたんです。海軍の学校に行くには、学校の成績が5番までにいないとダメって言われてましたからね。
終戦
終戦って聞いたときは訳が分からなかったですよ。学校へ行ったら校長が「デモクラシー云々」って話をするんです。デモクラシーなんて聞いたこともない。「何だ、そりゃあ」って感じでした。
モノの価値が180度というか360度というか変わっちゃって、いったい何をしたらいいのかわからなくなりましたね。糸がぷつんと切れたようで、生きてる意味が分からなくなってしまいました。(PDF版の抜粋です)